最近、ワーキング・プアなること ばが生まれました。まさに日本語教師のためにあるようなことばぢゃないか! これで日本語教師に日の目が当たる! とにわかに心躍らせましたが、一向に日が射さないので私が言います。日本語教師の賃金底上げを要求します。
日本語教師は教師と名のつく職の中でもかなり稼げない、食えない仕事です。世代別で見ても、20代が少ないんですが、これは一度始めた人が数年でギブアッ プして離職することが多いから。実際、私の仲間も30手前にしてほとんどみんな辞めてしまいました。
雇用形態には2つあって、常勤(フルタイム、いわゆる社員と同じ扱い)と非常勤(簡単に言えばパートタイム) があり、これが非常勤だと日本語教師が「日本語狂死」になってしまうほど苦しくな るわけです。時給1500円スタートの学校が多いと聞くけど、この1500円で文房具を買わなきゃいけなかったり、練習プリントやテストを作ったりテストの添削を したりという、準備の時間にお金は出ないのが実情です。また、自分の勉強のために専門書を買わなければいけないし、ひどい学校だと授業で使うテキストは自分で買ってくださいというところもある。つまり、最初の数年間はそういう時間や支出を含めて換算すると、時給400円程度にしかならないと思います。そういうわけで、ヤングな単身者ほど生活がキツくなり、経験を積む前に職を離れなければいけなくなるわけです。
私だって例外ではなく、「もうやめなきゃ あかんのかな…」と思わされたことが何回あったことか。友だちに誘いを受けても「ゴメン、今月(も)苦しいから…」と。ちょっと稼ぎのいい月があっても、個人授 業のお客さん(特に外資系企業の社員さん)などはいつ「国に帰る」と言うかわからない。たいてい日本の休暇に加えて、クリスマスだ夏休みだと授業できないときも多いし。私の去年の収入は107万5千500円でした。 ぎゃおぅ、少ない! よね? (貧乏生活も長くなると、だんだん慣れて感覚がおかしくなってきます)。大学出て約10年ですよ…。
じゃあ常勤やればいいじゃん、と思う方も多くいるでしょうが、そうはうまくいかないのが実情です。常勤の資格として、「経験3年以上」と いう規定があるから。常勤なら生活はできるだろうけど、それでも手取り15万程度の人もいます。ちなみに日本語教師の多くは女性なのですが、専任には男性 が欲しいという学校がけっこうあるようです。
私は一時期まで「いつかは専任、いつかは専任」とうわごとのように繰り返し言っていましたが、今の学生やお客 さんには本当に満足しているし、専任以上の収入が得られるようになり、現状には今のところ満足しています。とは言っても雇用形態はバイトと同じ、保険はつかないし交通費も自腹切って行っているところも。お客さんがいつ「帰国する」と言ってくるかもわからない。
話が逸れました。何が悲しいって、「お金がない」そんなつまらない理由で、本当にいい教師がどんどん去っていくんです。「中国人は」「韓国人は」とひとくくりにしてものを言ってくれる政治家さんらが気付きもしないであろう、日本で彼らが抱える問題や悩みを、最前線で全力でサポートしてくれている人が、「生活できない」という理由で辞めているんですよ。
今年の流行語大賞が「美しい国」じゃなくて「ワーキング・プア」になりますように。日本語教師やその他の、全国の働きマンたちに光あれ。
*画像に深い意味はありません。
こんにちは。
初コメントです☆
一見、華やかそうに見える日本語教師も
ナカナカ大変で過酷な仕事なんですね。
そして、自分も本当にやりたいことから
目をそらして、「現実」を良い訳にして
今の仕事をしてます・・・。
もちろん今の仕事も嫌いじゃないけどね。
ただ、ホント難しい世の中だねぇ。
投稿情報: しらけん | 2006年12 月17日 (日) 11:13
>しらけんさま
コメント、どうもありがとうございます。
すべてにおいて満足&納得できる会社や仕事って、まずないんだろうってことはわかっているし、やりたいことができる幸せもビシバシ感じてます。でもねえ、高い条件を求められながら自立もできず安定もない仕事ってどうかと思うよ。教師にやる気がなかったら学生だって嫌だろうし。
それにしても…日本語教師が「華やかそう」だなんて初めて聞いたよー。「すごいねー」とはよく言われるけど。
投稿情報: caragh | 2006年12 月17日 (日) 22:02