ちょっと前のことなんですが、学生さんにこんなチケットをいただきました。
見えるかな〜? 上海映画祭って書いてあります。
ちょうど暮れも差し迫って、かなり忙しいときだったので行けるかどうか心配だったんだけど、用事を詰めて時間をこじあけて行ってきました。
水墨画アニメなど、かなり気になる面白そうな作品が多かったなかで、唯一時間的に行けたのが「自娯自楽」という作品。ジョン・ローンが出ているということ以外、ストーリーなどほとんど予備知識なしに観てきました。
これが、意外と良かったです。私はドキュメンタリーや実話ベースの作品が好きなんですが、これもそう。中国の山村で実際にあった、ふつうの青年が映画を撮るという話。
舞台となる農村がなんて言うかすごく立体感があって、映画館の画面に映った映像が三次元に見えてくるような、迫力に満ちた不思議なパワーがありました。この農村自体が四合院造り(楼数の多い長屋のような造り) っぽくて、色々な家族がひとつの棟に住んでいるの。で、ある人はせいろで花巻を蒸していたり、またある人は麺を打っていたり、いかにも中国のいなかっていう風景。私が中国にいたとき住んでいたのは東北なので、自然の景色とかは多少違うけど、にわとりやガチョウが小屋のまわりで群れていたり、村のおっちゃんおばちゃんなんかはまんま同じでとっても懐かしかった。それから、度々出てくる食事のシーン。これ、かなりリアルです。
撮影地は景徳鎮とありました。行ってみたい!
主人公の「映画を撮る男」はジョン・ローン、で、ヒロインは歌手で有名なココ・リー。映画初主演だったらしいけど、とっても自然。気が強く、負けず嫌いで素直じゃないところ、(中国人の女の子の典型的な特徴だと、私は勝手に思ってます) きっちり演じきっていて可愛かった。素なのかな? ジョン・ローンも、演技派なのは「ラストエンペラー」で実証済みだけど、こういう「フツーの人」が自然にできてこそ、本物の俳優という気がしました。
実は、私はけっこう本気で映画監督になりたいと思ったことがあります。今でも、いつか自分の受け持った学生たちを俳優にしてドラマとか短編映画を撮りたいとこっそり思ったりもしています。そんな私だから、この映画はすごく感情移入できて、とても楽しかった。お金がなくても映画は作れる。もちろん、経験も知識もないんだから障害も多い。でも困難は、それを乗り越えられる人にしかやってこないもの。とても後味のいい、色々な意味で「かわいい映画」でした。
やっぱり、中国映画はこういう素朴なのがいいよ。「山の郵便配達」に並んで、おすすめです。
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