『タモリ倶楽部』で見聞きしたこの可愛らしいサイズの自称「季刊」本、表紙の無垢なイメージとは打って変わって、開くとアナタそりゃもう血も肉も心も酒に浸った酒好きの思いつき特集、飲んだくれコラムと、もう盛りだくさん。
広告に至ってまでというその徹底っぷりは チョーヤ梅酒2本以上 381yen以上の価値があるってもんです。ラブ&ビバ! 『酒とつまみ』。ご参考までにその内容をちょいと引用すると、
「輪唱酒場でゴルァ! を我慢した話」
酒は「いらっしゃいませ〜〜〜〜〜〜」と店員が軍隊の号令みたいに奥へ奥へと輪唱するような酒場が一番。中略 「お一人様っすね」「先に一人で来たけど、後からもう一人来んだよ」
この面倒くささを、少し我慢すれば済むのだ。中略
「2時間コースのほういただきましたぁぁ!」「喜んで」「喜んで」「喜んで」と輪唱になる。続いて兄ちゃんが小鉢を持って来て、「お通しのほうになります。本日のお勧めのほうはこちらおさしみ盛り合わせのほうと、ぼろーにゃ風アジのたたきのほうになります」
「にいちゃん、おめえフクロウじゃねえんだから、ほうほうほう言ってんじゃねえぞゴルァ! 」なんぞと凄んではいけない。少し我慢すれば済むことだ。
さて、一足先にビールで潤したい。
「ビールを飲みながら待つかな」「ビールは大生か中生っすが」「そんなにたくさんいらねんだよ。コップ一杯でいいんだ」「こちらメニューのほうにビールのほうがありますんで」
とうとうほんのちょっぴり気分のささくれが出てしまって、「じゃその中生のほうに枝豆のほうをつけてもらおうかな」「すいません、中生のほうに枝豆のほうついてないんですけど」「注文したいの、ビールのほうとは別に枝豆のほうを。わかってくれた?」「喜んで!」「喜んで!」
「にいちゃん、喜んでないだろ。その鬱陶しそうな顔はナンだ?」と言葉のほうに出してはならない。少し我慢のほうをすれば済むことだ…後略 (『酒とつまみ』第8号より)
巻頭特集 思いつき研究レポートSPECIAL 甲類焼酎で何かやってみた! と題して、焼酎を各種健康ドリンク ( 豆乳とか、ユンケルとか、ウイダーinゼリーとか、眠眠打破とか ) で割ってみたり、焼酎をシェリー樽で熟成させてみたり、とにかく色んなものを漬け込んだ ( おしゃぶり昆布、魚肉ソーセージ、チョコボールにチキンラーメン…) 焼酎を飲み比べてみんなで品評してたり…。
ほかにも「酒飲みの土産 文豪、小諸にてニンニクを買う」、「ネオン街の旅鳥・丸腰倫太郎のフィリピンパブの歩き方 次回につなげる帰り方」、「編集者はなぜかくも飲むのか 最後の一杯を5回飲む男」( 女なら私のことだ〜 ) 「小説 水餃子」なんて真面目なものもあります。
何がいいって、誰も彼も気取ってなんぼの世界。心のぴりぴりがいつの間にか剥がれちゃうんです。飲むなら酒、読むなら『酒とつまみ』。
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