ことばの通じない3人が出会い、共同生活を送ることになったら?先住民族サーミ人のアンニ、フィンランド軍狙撃兵のヴェイッコ、ロシア軍大尉のイワンの静かでふしぎな暮らしを描いた映画、それが「ククーシュカ」。
「これは静かな反戦映画だ」と評する記事をどこかで読みました。けれどもそれ以上に訴えてくるのが、私たち人間という動物はどうあるべきか、他とわかりあうには何が必要で、どうすればよいのかといった、ある種もっとシンプルかつ切実な問題。これは大人のための童話です。
舞台はフィンランド北部、ラップランド地方。物語の設定もさることながら、青みがかった、ちょっと冷たくほの暗い映像も印象深く、この独特で単調な空気感が、登場する3人の心情や日々の暮らしをよりくっきりと浮かびあがらせているようでした。( ここからネタバレのおそれあり。映画の内容をより知りたければ下の空白部分を反転させてください。)
見ていて興味深かったのは、サーミ人の暮らしぶり。ドアが斜めにつく、天井のあいた独特な家に住み、意識のない兵士に飲ませるのはトナカイの乳と血を混ぜたもの。魂を呼び戻すには太鼓をたたいて犬の歌をうたう…。
演じる女優は、役名と同じ名のアンニ=クリスティーナ・ユーソ。彼女自身がサーミ語を話すサーミ人であり、また背景となる戦争は実際にあったできごと。そのため物語自体はおとぎ話のようであるけれど、全体的に信憑性があり、それがこの静かな映画を鮮やかにさせている要因となっているのかもしれません。
観たあと、それも忘れたころにじわじわと追いかけられて包まれる、不思議な感覚に陥ります。
★モスクワ国際映画祭最優秀監督賞ほか、全5部門受賞★
『ククーシュカ』公式サイトはこちら。
このサイトは映画の要素をうまく取りいれています。アンニの日本体験記もあります。
『ククーシュカ』上映館情報はこちら。
いやぁ見て良かった。幸せ。「ドシンズカンボトン」お腹に漬物石。しっかり重くて、千々乱れてた心のヒダが整いました。このところ細胞が浮遊してたのが、一箇所に集約され、正しい場所に戻ったという様な。なんて人間らしいのだろう。見失ってたものを取り戻すことも出来る、旅する厚い一本でした。見終って数日を経た今、体内でこの映画が美味しく熟成発酵してるのを感じます(笑)教えてもらってありがとう!!
投稿情報: macky | 2006年4 月27日 (木) 05:33
>mackyさん
ヨカッター。真摯なコメントありがとう。この映画独特の「都合の良さ」は賛否両論ありそうだけど、姐さんに気に入っていただけて嬉しいです。ちらしのイメージとは違ったよね。また映画談義しませう♪
投稿情報: caragh | 2006年4 月30日 (日) 13:17