所持金は蔡さんにお借りした1,100NTのみだったので、まずは両替を試みる。
両替所が目に入ったので早速「ここで換金できますか」と聞く。
その服務員の男性はやや面倒臭そうに顔を上げると、遠くを指差し「下樓、右邊」(下の階の右側だ) と言い放った。見るとエスカレーターが。ちょうど後ろに日本のおばさまがたが並んでいたので、「両替はここではできないみたいですよ」と言うと、私には一瞥もくれず、さらに後からやってくるお仲間のおばさまに「○○さーん、ここダメだってぇ」と伝えていた。
とにかく入国審査を済ませよう。しばし並ぶこと10分、やっと私の番がまわってきた、というとき、係員が私の背後を指差した。
あっ、しまった…
入国カードを書くのをすっかり忘れていたのだ。機内で航空小姐 (客室乗務員)がやたら私に中国語で話しかけていたのは、私を台湾人だと思っていたからなのだろう。あちゃー。
気を取り直してカードが備え付けられているカウンターへ行く。あ、ペンがない。バッグをごそごそやっても、出てこない。しかたがないので、警備員に「ボールペンありますか。お持ちでしたら貸してください」と尋ねてみる。快く応じてくださった。
このお方、これまで訪れたどの国のどの空港スタッフより親切で、書き方も丁寧に教えてくださった。そして、「在那里學國語?」どこで中国語を勉強したの?どうしてそんなにわかるの?といったことを尋ねてきた。「勉強はほとんどしたことがないけど、5年前、大陸に1年半住んでいたんです。で、今は日本語学校で働いていて、毎日中国語のおしゃべりを聞いているから、聞いたらちょっとわかるんです」と説明した。すると「それでも、それだけでそんなにわかるなんて、すごいよ!」と褒めていただいた。
実は自分の中国語レベルが果たしてどのくらいなのか、さっぱりわからない。
なんせ文が作れないのだ。しかし生活で必要な単語や、変な言葉、若者の言葉なんかはけっこう頭に入っている。
台湾行きを決めたとき、自分の中国語が、今回の旅でどのくらい使い物になるか、それを試したいと思った。
そうしてこの親切な係員とお別れして、いざ入国、階下での両替もスムーズで、とりあえず1万円を換金した。市の中心部へは時間がかかるが、バスが便利だと聞いていたので、バス乗り場を探し、空港を出る。
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