ふと考えたら、もう1年以上海外に行っていない。
日本人である私が、ずっと日本にいると、ただの「日本人」としてしかものを見られなくなる。そうなると、異国の人の気持ちがわからなくなる。異国の人の気持ちがわからなければ、日本語教師は務まらない。いつからか、そんなふうに考えるようになって、「旅行」ではなくあえて「旅」を選ぶようになった。
行く先の挨拶をちょっと覚えたら、あとは地図を持って。行き当たりばったり、宿も着いてから決める(「自己責任」の問題もあるので、初日くらいは予約して行くけど)。もともとお金なんてそんなに持っていないけど、時間だけはとれる仕事なので人がうらやむ程度の期間は設ける。どんな人に会うのかなんて、まったくわからない。でも、かならず現地で1人は友達をつくると決めて。
もともと集団生活や共同活動が苦手で、ひとりでフラリと…するほうが好きなので、修行じみた過酷さはなく、こちらのほうがむしろ自分という個を見つめられる貴重な時間。
水辺に佇み、買ってきたパンをカモメや白鳥にやりながらあてどもなく考える。
こんな時間が懐かしくなってきた。そんなときになると決まって、旅をしてきた人、これから行くという人に会うことが、なぜかものすごく増える。きっと神様が背中を押してくれているのだろう。
さてこんどはどこで自分を試そうか。