9月の金曜日

4:00　起床。実は3時頃、目が覚めた。初仕事を控えているので、緊張しているのかなあ。今日も日本語学校のほうは上級クラス、初級クラス。初級クラスでは「まるでおもちゃみたい( のよう)です」、「音を大きくすることができます」、「景色が見えます／音が聞こえます」の3本立て。けっこう忙しくなりそう。

6:30　家を出る。

9:00　上級クラスの授業。今日はもう、狂いそうになるほどうるさかった！何度言っても静かにならないし、これじゃ真面目にやってる2人 (そう、18人中16人が授業中しゃべる、しゃべる、しゃべる)がかわいそう。解説を口で言わないで、答えも含めて板書して終わらせようかと思ったけれど、そういうわけにもいかないので仕方なく解説を始める。やっぱりうるさい。しかも2人は、イヤホンを入れて音楽を聴いている。1人は漫画『NANA』読んでるし…。「あのさあ」と語りかけると、「日本語の勉強だよ。悪い?」と楯突いてくる。むかむかむかむか。もう、こういうときは「今やるべきこと、物事の善し悪しの分別もつけられないなんて、かわいそうだねえ。愚かだねえ。どんな教育を受けてきたのかねえ。本当に、かわいそうだねえ」と、目で語ることにしている。1分も見つめると、さすがにバカにされたと思ったのか、漫画はやめた。ほかの学生も、完璧に、ではないが、問題をやりはじめる人が増えてきた。
ああもう、早く今学期よ、終わってくれーーー。

12:30　午前クラス終了。昼ご飯はコーヒー。

13:30　午後クラス。教科書に「まるで本物みたいです」という例文があり、これを導入す るのに、むかーし学生に「沖縄みやげです」といっていただいたカエルのお財布を使う。どうせならビックリさせたほうが楽しい。で、いざそ のときになって、クラスでしゃべってばかりいる学生を懲らしめちゃおうと思いつく。

私が、Kさん、これ、取ってね ( と言ったときにはもう投げている )と言ってキャッチしたKさんの手中には、このカエルのお財布が…。「うわあ」と言って財布を前に座っていた学生に投げつける。このちょっとぼけら〜とした 学生、間をおいて「ぎゃー」とビックリ。作戦は大成功♪ 口の達者なYさんに「先生、趣味悪いよー」と言われたので「そう？これ、ルイ・ヴィトンの新作なんだよ」と苦しい嘘八百。

17:30　授業が終わって、急いで品川へ行く準備。方向音痴な上、初めて行く場所なので、不安×100。とりあえず早く行って、心を落ち着けるためにどこかでコーヒーでも飲む時間が欲しい。でも、朝も昼も食べていないのでやっぱり先に何かお腹に入れてから行こう。

18:15　結局こんな時間に。19:00に会社のビル1階で待ち合わせなんだけど…。

18:40　ちょうどいい時間に駅に着いた。そこから、地図を目で舐め舐め、会社のあるビル を目指す。にしても、品川っていつからこんなに大きい街に？一つ一つのビルが大きすぎて、ただでさえちっこい私が、本当にちっぽけな存在に思え てくる。でもそんなことを考えていると道に迷ってしまうので、心を集中させ一路Dビルへ。

18:50　待ち合わせ場所に、まだPさんは来ていない模様。しばし待つ。7時になって、 ケータイをチェックしてびっくり。「今日、7時に○○でお待ちしています」という私のメールが未送信になっているう。慌ててPさんに電話。「今下ですか？ じゃあ行きますね」という英語を聞いて、ヘロヘロと崩れそうになる。よかった、とりあえず会える…。

19:00　Pさんと一緒に、日本人の男性が2名やってきた。とりあえずビルの中 へ。そのセキュリティの強固さに圧倒される。「次回から、来たときはPさんに電話をして、バッジをもらって云々」。今まで出入りしている会社や学校なんて、誰で も入って来られる。ある意味危ないよなあ。それにしても、きれいなビル。変な格好して来なくてよかったあ。

19:30　色々説明を受けたあと、「ここを使ってください」と案内されたお部屋がこれまた 立派。モダンでお洒落な一室で、ホワイトボードも、プロジェクターもある。「これ、使いますか？」と指さされたものを見て「これ、テレビですよね？」と聞くと「いえ、テレビは映ら ないんですが、パソコンの写真とかそういうものを映せるので」。

…。そんなこと、どうやってやるんですか。わたしいまもかせっとてーぷでおんがくきいたりしてるんです。

まあ、先のことはこれから…。勿論、そんなこともできるようになったら何よりだけど、パソコンが重いからあまり持ち歩きたくないんだよね。とにかく今日の 授業次第で今後どうするかが決まる。第１回目の今日は「1日でこんなに話せるようになる」という実感を持ってもらうためのプラン。内容は「自己紹介」とい う簡単なものだけど、簡単なフレーズで色々なことができるようになる文型や表現を紹介する。

始めると、「日本語って、なんか難しそうだなあ」とか「なんだ？この/tsu/の音は。聞いたことないぞ」とPさん以外の2人は困った顔。あるとき不意をついて私が持っていたペンを「どうぞ」と言って渡すと、渡されたほうも「どうぞ」。それで私が、「いいえ。私は『どうぞ』。Mさんは『どうも』です」と言うと、それまでの受け身態勢が一気に崩れた。そうやってこちらが堂々と進めていくうちに、それまで一番厳しい顔をしていたMさんが、「じゃあ ちょっと練習してみてもいいかな」と、隣に座っていた人に「名刺だして」と実践的練習を促していた。そうやって、約1時間のうちに、3人の力で、目標とし ていた全ての文型・表現が定着してしまった。

20:30　「じゃあ、終わりましょう」と言って帰るときも、「どうぞ」「どうぞ」「どうぞ」と3人で「どうぞ」の洪水。階下に降りるまでみんなで「どうぞ」。
最後に別れるとき、「see you next week」とみんなが笑顔だった。よかった…。

帰りに品川駅周辺をちょっとだけ散策。DEAN＆DELUCAがあるよ!  しかも広いよ!  実は入るのは初めて。話に聞いていた通り高い (何でも、年収5000万以上の人をターゲットにしているんだとか )けど、それ以上にカワイイものがいっぱい。いわゆる「贈り物」とか「自分へのご褒美」にはちょうどいい値段。

頭はフラフラ、体はヘロヘロ。でも品川が大好きになりそうです。