夏休みに読んだ本、実は読むのにものすごく時間がかかった。時間を「かけた」と言った方が妥当かもしれない。それは、内容があんまり酷くて途中でこのまま読むべきか戸惑ったから、呼吸を整え、精神の安定しているときを選んで読んだのだ。
いつだったか、ある中国人学生が「私たちが怖いのは、外国人登録証不携帯を取り締まる警察でもなければ、不法滞在に口を出す入管でもない。怖いのは日本にいる中国人なんです」と言っていたのを、思い出した。同胞を恐れるなんて…と、そのときは思ったものだが。
実際、私の周りにも「犯罪者」となった学生がいる。万引き、窃盗、有価証券偽造、殺人…。とても1人では抱えきれない (日本語教師はこれを1人で抱えてはいけない) 問題を持ってしまった人もいる。そしてそれは「とても真面目な」「そんなことをするタイプではない」人に限って何かやってしまったりするものだ。本の言葉 を借りれば "誰でも犯罪者になりうる" ということだ。
しかし日頃、「外国人」と呼ばれる人と接して、彼らの人となりを見ている人間に言わせれば、この本の在り方はどうかと思う。事実なのかもしれないが、惨い描写や重い言葉で「外国人犯罪」をアピールしたところで、「外国人は危ない」というステレオタイプな考え方しか生み出さない。そうして互いを理解しようとしないばかりか、差別感情が生まれていく。そして警察は動かない。
何パーセントかの人間は、犯罪目的で入国している。これは紛れもない事実だが、犯罪者となってしまった人々の多くは、「入国後のストレス」によるものだ。私たちが本気になって「どうしたら犯罪をなくせるか」を考えない限り、この連鎖は続いていくのだ。
私などの「日本語教師」は、多くの人のストレスを、日本語を教えることで少しでもなくしていけたらと思う。そしてそれは、不可能ではないと思っている。
(興味がある方のために、一応リンク貼っておきました)
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