バスを降りると運転手のおばさんが「荷物、あったっけ?」と聞いてきたので、「有,黒色的」(あります。黒いのです)(第三中文)と告げ、取ってもらう。何か言われたがよく聞き取れない。え…?という顔をすると「引換券をちょうだい。ラベルはそのままでいいから」ということだった。
『歩く台北』とgoogle mapのキャプチャ画像(ネットの地図画面を撮ったもの)を照らし合わせながら、基準となる松江南京駅を見つける。駅のところの交差点の角の近くに写真館が入ったビルはあった。1階が「やよい軒」で、ビルに看板が出ていたのですぐ見つかった。
予約は13時からだったが、12:45には着いてしまった。恐る恐るドアを開けながら「あっ、最初になんて言えばいいんだろう?」と気付く。えーーっと、えーっと…入口で「Tです。予約しました。」と言ってみた。するとぽっちゃりとした女性が出てきて「ニホンジン?」「ココスワッテ」とテーブル席に案内された。聞いている話ではいろいろなサンプル写真を見せてくれるとのことだったが…出てきたのはアルバムで「アナタ予約シタ、3枚+1枚、2400元のコース、でもコレもっとタクサン。こっちイイネ。ドウ?!」と別のコースを勧めてきた…。自分の写真、そんなにいっぱいあってもしょうがないので、「…大丈夫です。最初のコースでお願いします」とお断りした。
荷物を置かせてもらい、貴重品をロッカーに入れたらまずは衣装選び。ドレスが多い!肩を出すタイプのものが多かったが、この逞しい腕を晒すのはちょっとね…。一応白地に赤いハートが散らばっているラブリーなのも着てみたのだか、わたしが着てもちっともラブリーではなかった。結局ドレスはやめて、着物風と中華風の2着に。早く行ったのでゆっくり選ぶことができた。
着替えたら次はメイクだ。聞いていた話とはかなり違い、されるがまま状態。ヘアメイク担当の人は慣れた手つきで「カツラダイジョブ?」と聞いてきた。OK、OKと言うと赤紫の超ロングヘアのウィッグが登場。そこにお花やかんざしをつけて、いよいよ撮影!
スタジオは本当にすごかった。狭いところにいろいろな背景が10種類ぐらいだろうか、並んでいるのだ。でも客が選ぶことはできないようで、カメラマンが指をさした「舞台」に立つ。ポーズも彼が決めて、その通りにすれば良い。それにしても顔が引きつる!そんなわたしを笑わそうと、カメラマンは「smile!」を連発。あまりにぎこちないわたしにイライラした彼はついに「キャンキャン!」「ワンワン!!」と犬の真似を始めた。それはまるで、「笑わそうと頑張る犬」VS「笑おうにも笑えないビジュアル系ざしきわらし」の対決のようであった。
そのあと、もう一着に着替えた。こちらはこちらでまた難しい。彼はわたしと一緒の時間ほとんど「犬化」していた。普段、写真を撮ることはあっても撮られることに慣れておらず、本当に申し訳なかった。
「明日の19時にデキル!コレ領収書。コレモッテキテ!」と言われ写真館を後にする。今度は松江南京駅から地下鉄で龍山寺へ!
【 薇閣数位影像館 Vigor Photo Studio 】
台北市南京東路二段97号2階 (02)2567-7773
営業時間 09:00~19:00 (旧正月3日間は休み)
今回、台湾へ行くと決めて本当におおぜいの方々にお世話になった。そのほとんどは台湾の方なのだが、日本人もいる。その一人が、自他共に認める台湾通、Tさんだ。Tさんは「台湾で死にたい」と言いのけるほどで、職場でも「あれ?いない」と思うと台湾に行っているのだという。そんなTさんからいただいた「支援物資」の中に、悠々カード(日本でいう、suicaやpasmo)が入っていた。しかもすでに50元分チャージ済み。
お財布からこれを取り出し、もう少し入金しておこうと、それらしき機械を探す。あった。これかな?でも…カードの入れ口がわからない。ここかな?あれ?ここじゃない。ここかな??と、なんとか200元を入金。
今回台湾へ来た目標のひとつに「たとえ5日間でも、暮らすように旅する」というのがあった。できるだけ自分で頑張る。わからなかったら中文で聞く。実は会話本も辞書も持ってこなかった。はじめは「失敗した…」と思ったけれど、帰国した今、限られた語彙だけで勝負することで、確実に中文能力は上がった。(詳しくは後述)
とにかく、「カードにチャージする」そんな現地の人にしてみればどうってことのない一つの作業を、時間がかかってもやり遂げられたのには大きな達成感があった。「ドキドキ」が「ウキウキ」に変わった瞬間だった。
地上に出る前に構内に見つけたパン屋さんに「ライチソフトクリーム」の看板があったので「ライチのありますか?」(第四中文)と聞いたのだが「ごめんなさい。今はピーナッツのです」とのことで、花生ソフトをいただく。台北は27度近くあってかなり暑かったこともあり、とても美味しくいただいた。
※ところでこの「ごめんなさい」、台湾の人は「不好意思」と言って非常によく使う。また、「不好意思」の返答として「不會」(そんな≒いいんだよ)というのが多かった。「不好意思」は、今回の旅で一番よく使った表現かもしれない。
【龍山寺】
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龍山寺には前回来たことがある。かつてはこのあたりを「艋舺」Báng-kahと言った。今は音を使って「萬華」地区と呼ばれているそうだ。実はこの艋舺こそ、曽祖父母や祖父が暮らしていた町。ただ、懐かしい感じはしない。むしろどこか「おかしな雰囲気」がするのだ。奇怪な感じと言ったら言いすぎなのだが、ものものしい空気が流れているように思うのはわたしだけだろうか? 台北のほかの街とここは、確実に何かが違う。人々の念が交錯する寺町だからだろうか?
占いの時間まで1時間近くあったので付近を散策。(←実は龍山寺に向かおうとして道を間違えた…)ふと、地図上に書いたマークに目が留まる。夏に知り合ったNさん(この方も偶然、台湾つながりで知り合った)に教えていただいた料理屋さんが確かこの辺にあるはず。行ってみると巨大ないかの絵が。
どれが美味しいのか、というか、どれが何なのかさっぱりわからなかったし、昔祖父がよく作ってくれた米粉料理が懐かしくなったので、米粉を頼んでみた。すると店員の女の子が「スープはいらないの?」と聞いてきた。あとでわかったのだが、このいかのスープこそ、ここの名物料理なのだった。「じゃあください」と言うと、「米粉は大盛り?普通?」と聞かれ、普通盛りを頼み、席に着いた。このときやっと、自分は台湾へ来たのだ、という実感が湧いた。日本語の通じないお店で料理の注文ができた…これだけのことではあるが、「食」は生きていくのに最も必要である。1人静かに感無量。
その後、時間ちょうどに占い館へ。この占い師さんもNさんに教えていただいた。日本語が通じるとのことで、ほかと比較しても割安なこと、真摯な先生だったとのことで決めた。「占い師さんと言うよりも、昔からたびたび会ったことのある近所のお姉さんという感じ」。こう聞いていたのだが、まさにそんな感じだった。
ここの占いは「四柱推命」。前もって自分の氏名、生年月日と誕生の時間、生まれた場所をお知らせすると、先生が事前に鑑定しておいてくれて、会ったときはその鑑定結果に基づいて悩みを解決するアドバイスをいただける。相談する項目の数によって料金が変わってくる。わたしの場合、結果は惨憺たるものだった(笑)あと4年は運気が停滞するそうだ。
私自身でもわかっていることだけではなく、自分しか知らないこともバンバン言ってくる先生。そうそう、自分がまだ知らない将来のことも!早口なのが初めはちょっと怖かったし、言われたことに対しかなり悩んだ(というか凹んだ)けど、浮かれてはいけないよというメッセージと捉え、努力をしていきたいと思っている。
ずいぶんと話し込んでしまい、気付けば18時前。いけない。美一と中山駅で18:30の待ち合わせ!先生に「日本のお菓子です。今日はありがとうございました」とそそくさとコンビニ菓子を取り出し、荷物をまとめた。「この荷物は変身写真の衣装?」と聞かれたので「いえいえ、今日から会う人たちに配るお土産です」「実はお土産のことで頭がいっぱいで、服とか、自分のものをいろいろ忘れちゃって。」と言うと「あはは。そうそう。あなたはそういうところあるのよ。友達想いで、だから友達にはすごく恵まれるのよ。」と、人脈で人生渡っていけるタイプだと太鼓判を押された。背中に押されて部屋を出た感じ。
ビルを降りたらすぐ駅。だけど、まだ宿に行っていない。どうしよう。遅刻かな。
【方舟命卜地理(方舟又誼デビー)】
台北市和平西路120号 龍山商場3F-19(萬華行政大樓)
0910-111-160
予約制(当日予約も可)
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