わたしは中学生から高校生にかけて、ほとんど毎号買っていました。
いま、バナルでカラフルな表紙から始まるあの「世界」は、もうない。
そう思っていたのですが、ぁあ、なんと、小説に。
主人公は「チエコ」と「ミツコ」。オリーブをこよなく愛する、似てないようでいてそっくりな姉妹。オリーブの世界の住人になりたいと願いつつも、現実の厳しさを目の当たりにしてはもがく。そこに2人の男の子が絡んできます。ストーリーの中には、オリーブに欠かせない、いろんなカルチャーエッセンスや、オリーブ読者なら体にしみこんでいるような言葉たちがそこここに散りばめられていて…。
「『spoon.』も悪くないんだけど、なんというのか洗練されすぎちゃってるっていうか、『Olive』にあったあのバナルっぽさ、キッチュなかわいらしさ、なまいき小娘(シャルロット)感がなくってもの足りないんだよね」なんていうのは、姉のチエコ。
このほかにも、そうだよそうだよ、そうなんだよーと噛みしめずにはいられないフレーズでいっぱい。
作者は偶然にも、わたしと同じ年に生まれた女性。この小説、彼女の自叙伝なのかもしれないな、となんとなく思いました。チエコとミツコの名を借りて、オリーブのページをめくっていた当時の気分や、オリーブなき今の気持ちを吐露しているように感じたのです。そしてそれはつまり、少なくとも同世代のオリーブ読者の心の声ではないかな。生まれも育ちも東京のわたしなので、二人の賛同は得られないかもしれないけど(そうは言ったって、行ったことのないお店は多いし、育ったのは都心まで1時間以上かかる郊外)二人を足して2で割ったらちょうどわたしができあがるような…、そんなふうに思えるほど、痛くて、苦しくて、ときにふっと笑ってしまう、そんな1冊です。オリーブに特別な想いを寄せる人には、ぜひ一度読んでみることをお勧めします。(あとがきがしまおまほさんというのが、またニクい)
最後になりましたが、トリコさん、そしてダ・ヴィンチ編集部さま、ありがとうございました☆
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